トップに
戻る

2021年度

「地方創生賞(コト部門)」

コト部門人口減少先進地の挑戦!
地域を超えて支え合う、
「お互いさま」が広がるプロジェクト 「ヒダスケ!」
岐阜県飛騨市

概要

ヒダスケ!は、飛騨市民の「困りごと」と参加者の「お助け」が循環することで、地域内外の人の交流と支えあいを創出するプロジェクトです。市民発案のプログラムに地域内外から参加者を募ることで、人口減少による課題の解決と、まちの小さな賑わいをつくり、地域の魅力の維持につないでいきます。飛騨市は、人口23,000人の過疎地です。全国の倍のスピードで人口減少が進んでおり、高齢化率も既に日本全体の30年後の予測を上回る水準の「人口減少先進地」です。地域活動や祭りの担い手はもちろん、介護や医療、製造業やサービス業など地域産業の従事者の確保なども困難になっています。人口減少を不可避な現実として正面から受け止め、それを前提とした地域づくりを進めており、2017年より「地域外の人との交流」をポイントに事業を展開しています。ヒダスケ!は、手伝ってもらいたい地域課題や市民の困りごとをプログラムしてウェブ上に掲載し、全国から参加者を募ります。その内容は、農村の景観を保全するための石積みの補修や草刈り、トマト農家や果樹園の農作業、食品メーカーの新商品のデザインやアイディア出し、お米の販売促進のためのクラウドファンディングのPR、担い手が少なくなったお祭りの参加など多岐にわたります。プログラム主催者が「ヌシ」、参加者が「ヒダスケ」と呼ばれ、参加者には、参加後「オカエシ」として主催者の創意工夫で用意する野菜等のお礼や電子地域通貨「さるぼぼコイン」を用意するなどして地域経済の一助にもなっています。2020年4月に運用スタートしてから70のプログラムが生まれ、延べ800人を超える参加者がありました。プログラム主催者からは、ヒダスケ!終了後に「商品を買ってくださる方やクラウドファンディングで支援してくれる人がいた」「活動後も継続的な交流がある」「人手不足解消の一助になった」「飛騨を愛する方たちと出会えて楽しい」などの声が寄せられています。また、参加者からは「地元の方々と交流ができて嬉しかった」「飛騨市民のアツい想いに共感できた。これからも関わりたい」などの感想をいただいており、両者にとって満足度の高い取組になっています。ヒダスケ!は地域課題や困りごとを交流資源と捉えることで、誰もがポジティブに参加できる、公共性の高いプロジェクトであり、小さなまちで運営することによって、適切な規模で交流が生まれ、人口減少に最適化していくモデルです。

PRポイント

飛騨市では、人口減少下における地域課題解決のため、「関係人口」に着目し、2017年に「飛騨市ファンクラブ」を設立し、全国の飛騨市に心を寄せてくださる約8,000人の会員と交流を深めてきました。ヒダスケ!は会員との交流の中から自然発生的に生まれ、発展したものです。ヒダスケ!は、「体験ツアー」や「ボランティア」をリブランディングし、困りごとや地域課題を交流の資源として捉え、人と人とのつながりと支えあいを構築する新しい仕組みです。地方に関心がある人が増加傾向の中、地域外の方との接点をつくるために、観光や移住とは違う切り口から着想しました。対面式での観光案内所やコワーキングスペースとは異なり、ウェブ上でマッチングを可能にすることで、コロナ禍でも地域や年齢の垣根を超えて、幅広く参加者を募集することができます。また、地域経済循環サービスからのアプローチではなく、地域内外の人の交流から生み出す支えあいに主眼を置き、人口減少下の課題解決に取り組んでいます。さらに、行政が当サービスを運用することで、プログラム主催者・参加者のリテラシー不足をカバーするなどの工夫によって、利用のハードルが低く、気軽にご利用いただけます。ヒダスケ!を通して、疎遠になりがちだった地域内外での往来・助けあいが生まれ、「お互いさま」の精神で地域の人々がエリアを超えて助けあう土壌が育まれています。地域内外の交流が多数生まれる状況をつくることで、まちの賑わいが生まれ、地域の魅力を維持する原動力となっています。プログラム主催者は、若い農家からオンラインツールを使ったことがない80歳のおばあちゃんまで幅広くいらっしゃいます。地域内外の方との交流によって活動に力が入ったり、新たな商品化や取組にチャレンジする動きも生まれており、地域内外の人のつながりが地域や市民の元気に寄与していると実感する場面が増えています。さらに、移住者や移住検討者が地域の方とつながる仕組みとしても機能しています。当取組は、他地域からの関心も高く、1年間で視察や問い合わせは40件を超え、同様の仕組みを構築するための情報交換も増えています。地域課題や市民の困りごとを交流資源とすることは、どの地域でも可能です。飛騨市では、今後もこの取組を全国に広く発信し、他地域と情報交換をしながら、「関係人口」に着目した個性と特色ある事業が全国各地で展開されるよう取り組んでいきます。