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2020年度

「地方創生賞(コト部門)」

コト部門稼いで人材育成に再投資する地域商社
宮崎県新富町

概要

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(略称:こゆ財団)は、持続可能な地域の実現に挑戦するために宮崎県新富町が2017年に設立した地域商社です。私たちは、「世界一チャレンジしやすいまち」の実現をビジョンに掲げ、「強い地域経済をつくる」をミッションとして、ビジネスの手法を用いて自ら稼ぎ、新たな産業の担い手となる人材の育成にチャレンジしています。新富町は、2040年には人口がマイナス3,000人(1万2,000人)となることが予測されています。空き家は200件以上あり、町の中心部からは小売店が撤退。主幹産業である農業は高齢化や担い手不足が顕著となってきています。私たちはそうした地域課題の解決をビジネスチャンスと捉え、農産物の商品開発やブランド化を通じて生み出した利益を、地域でのチャレンジを志す人材を集めた育成塾に投資しています。東京での人材育成塾は、2020年末までに4期77名が受講し、7名が移住(予定者を含む)。農業や飲食サービスを始めるなど、地域に新しいビジネスが生まれています。●主な成果(2017~2020)・新富町ふるさと納税を運営し、3年で40億円以上の寄附につなげる・希少価値の高い特産品「ライチ」を1粒1,000円でブランド化・地場産野菜セット定期便や国産ライチ加工品(ゼリーなど)を開発・3年間で13件の空き家、空き店舗をカフェや民泊として再生・地域おこし協力隊をはじめとする人材の移住増(3年間で20名以上)・ユニリーバ、ENEOSといった大手企業と新富町役場との連携を支援・野菜の自動収穫ロボットを開発するベンチャー企業の創業を支援・酪農家や茶業などの町内事業者と協力し、20以上の観光体験プログラムを創出・商店街に月1回500人を集客する「こゆ朝市」を企画運営

PRポイント

最大の特徴は、「稼いで、人材育成に再投資する」循環モデルです。●なぜ循環モデルなのか農産物の商品開発やブランド化を通じて稼ぎ、ビジネスの担い手となる人材の育成に投資をする。その人材が成長し、新たな商品開発やブランド化を通じてまた次の人材の育成に投資をする。これが私たちの行っている循環モデルです。これはアメリカ・シリコンバレーの「稼ぐ」=GAFAに代表される企業群、「人材育成」=優秀な人材を輩出しているスタンフォード大学を参考としていて、持続可能な地域の実現には唯一の手法だと思っています。この循環モデルで運営している組織は例がないとされており、2018年11月には内閣官房まち・ひと・しごと創生本部より地方創生優良事例に選出していただきました。●子どもたちが帰って来たくなる、多様なチャレンジに溢れたまちに宮崎県新富町には高校がありません。町で育った子供たちは中学校を卒業すると町外に進学し、大半の人材が県外に流出します。主幹産業である農業では高齢化や担い手不足が進行しているほか、空き家・空き店舗も増加しており、町から活力が年々失われている状況にありました。私たちはこれを変えるため、ふるさと納税を活用して農産物の商品開発やブランド化を実行。得られた利益を用いて著名な講師陣をお招きした人材育成塾を開講し、町にたくさんの受講生を呼び寄せました。その結果、3年間でのべ10,000人以上の関係人口が生まれ、ユニリーバやENEOSといった大手企業からベンチャー、移住希望者らが行き交う多様なコミュニティが創出され、町と企業の連携協定や、企業の創業・転入といった事例も出て来ています。これらはすべて、子どもたちが帰って来たくなる、チャレンジしたくなるまちにつながっていくと信じています。