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2019年度

「地方創生賞(名品部門)」

名品部門さとうきびの搾りカス「バガス」を活用した
エシカルデニムプロジェクト
沖縄県浦添市

概要

私たちの取り組みは、沖縄県の基幹作物であるさとうきびを活用した6次産業化目指すプロジェクトです。沖縄県におけるさとうきびの生産量は年間約74万㌧で、日本で最もさとうきびが生産されております。また、兼業でさとうきびを生産する農家も多く、沖縄県にとっては欠かせない農作物となっています。しかし、沖縄県内におけるさとうきび農家数、作付面積は年々減少しております。生産量自体は一定水準を維持しておりますが、これは国からの支援による要因が大きく、補助がなくってしまうと、一気に衰退する可能性がある農作物ですさとうきびは砂糖の原材料ですが、砂糖以外の使い道は少なく、産業の発展性は乏しい現状です。私たちは、さとうきびに新たな活用性を生み出し、産業として発展性を高めていくと共に、さとうきび産業従事者に対する支援を行い、衰退に歯止めをかけることを目指しています。プロジェクトの立ち上げにあたり、私たちが注目したのは製糖時に発生する搾りカス、バガスです。現在このバガスについては製糖時の焼却燃料や、肥料としての利用が主となっておりますが、使用しきれずに廃棄される未利用バガスが発生している現状です。このバガスの利用法についての研究として、バガスのセルロースを活用したバイオマスエタノール生成の研究があります。ブラジルなど一部のさとうきび大国では利用が進んでいますが、それは一例でコスト面などの問題からまだまだ実用性はなく、世界的には浸透していません。本プロジェクトでは未利用資源であるバガスに新たな活用性を生み出し、産業として確立するために、バガスを使った繊維の開発および、生地の開発を行っています。具体的には、沖縄県で発生したバガスを、乾燥・粉砕し、細かなパウダーに加工します。バガスは糖分・水分を多く含むため、すぐに発酵が始まってしまいます。また非常に硬い繊維が特徴で、バガスの繊維質そのものから糸を作るということが難しいため、細かなパウダーに加工しています。このパウダーを岐阜県美濃市に伝わる美濃和紙の伝統技術を用いて和紙化し、この和紙を撚って和紙糸を生成しています。ここで生まれた和紙糸を緯糸に使用し、デニム一大産地である広島県福山市でデニム生地に織り上げます。日本全国のモノづくりの技術を掛け合わせ生み出されたデニム生地は、沖縄県内の職人によって、ジーンズや、バッグなど様々なアイテムに製品化されています。

PRポイント

未利用資源であるバガスを使った自然由来のデニム生地を用いて、人々の生活に欠かせない、「衣服」の分野で展開することで、ごく一部の方を対象とするのではなく、様々な人たちが身に着け、日常の中で使用することができるようにしています。いわゆる「デニム」とはことなり、この「エシカルデニム」は、日本の伝統的なものづくりの技術を掛け合わせて生まれた新しいデニム生地です。緯糸にバガスの和紙糸を使用しているため生地自体が非常に軽く、綿100%のデニム生地に比べると、1/2~1/3の比重となっております。また、和紙の性質により、優れた吸保湿性、さらっとした肌触り、独特の光沢感、さらには、和紙とバガス成分による高い消臭効果を持つ、唯一性の高い新しいデニム生地となっています。この生地を活用し、ジーンズをはじめとした、様々なファッションアイテムを製作しています。老若男女問わず、人々のライフスタイルに合わせて使ってもらえる製品ラインナップとなっており、購入者を選びません。また、元来デニム生地は、生地としての丈夫さ、経年変化によるビンテージ感が楽しめるものとなっており、私たちの製品も一生物の一品として、時間と共に変化していく色落ちやダメージを楽しんでもらうことができるアイテムが揃っています。昨年より、沖縄県内をはじめとしたテレビ・新聞などメディアに取り上げていただくケースが増え、「テレビで見た」や「新聞で見た」などショップや公式HPに問合せをいただくことが増えてきました。また、このプロジェクト最大の目的は、沖縄県のさとうきび産業を守り、沖縄県の地域経済に貢献することです。具体的には、沖縄県内の職人たちによって製品化されたアイテムを、沖縄県に拠点を置く自社ショップ、及び提携店舗にて販売し、販売収益による沖縄経済への貢献を目的としております。また、今後の展望として、ジーンズなどのアイテムをさとうきび農家のユニフォームとして無償提供し、使用してもらいたいと考えています。農家の方が使用したジーンズなどを回収し、ビンテージ製品として販売します。ここで上がった販売収益はさとうきび農家の方々に還元をし、さとうきび農業以外の収益源として提供し、持続的な産業として確立していくことの一助となることを目指しています。


参考サイト